(almost) daily corleonis

2024.08.30 Fri.

この8月から株式会社microCMSで働きはじめた。

わたしは新卒からずっと同じ会社で働き続けてきて、転職を経験せずにここまで来た。代表2人のことが好きで信頼していたし、あまり他で働くことを考えたことがなかった。事情があって突然退職することになり、次に何を目指せばいいのかわからなくなった。エンジニアを続けていくか、何か資格でも取るか、近所で新しい職に携わるか、東京に単身赴任するか…何でもできるような気がしたし、何もできないような気がした。転職のつらさはよく耳にしてきたが、いざ自分がその立場になるとたまらなかった。

そんな折に今就いているポストの求人を目にし、業務内容を読んで素直にやってみたいと思えた。自分が今までやってきたことが役に立ちそうだし、その先のことを勉強したくなった。なんだか燃えてきて、選考に向けて今自分ができることをすべてやろうと決めた。リサーチ、勉強、制作と準備に準備を重ね、まるで受験勉強みたいになって、終いにはここまでやったしもう落ちても後悔はないという心持ちになっていた。

内定をいただいたときはほっとしたし、既に面接をしていただいた方たちのことが好きになっていたから一緒に働くことができると思うと嬉しかった。その後少しの充電期間を経て(このタイミングで5年ぶりくらいに風邪をひいた)入社。今日でほぼ1ヶ月となるが、毎日すごく充実感があって楽しくやらせてもらっている。自分の力不足に申し訳なくなることもあるが、褒められるとついニコニコしてしまうし、情報が整理されていてストレスがなく働きやすいし、ほぼ一回り違う同期がいるのも心強いし、メンバー皆思いやりがあり視野が広くて感服してしまう。自分も会社の力になりたいと心から思う。

ミッションに「エンジニアの武器を作り出し 世界の進歩を後押しする」とあるように、このプロダクトがエンジニアの手に馴染んだ道具となり、時に心強い味方となるような手助けができればと思っている。半年前は打ちひしがれていたのに、今では新しい夢ができた。自分が楽しんで努力できる人間だと知っているので、いろいろなことに興味を持って、ワクワクしながら進んでいきたい。

2024.08.05 Mon.

10年くらい前、ブックオフの100円文庫棚でおもしろそうな本を探してパラパラめくっていたら、偶然サイン本に出会った。サインだけではない、絵まで描いてある。海辺に並んだ2人がカモメを眺めているのだろうか。本物かどうかもわからないが、素敵なサインだなと思い購入。

『パイロットフィッシュ』の続編である本作は少し悲しい話で、最後まで読むとこの絵の意味がわかった。誰かがこの類ない一冊を売却し、サイン本とは気づかれず100円棚に並べられ、たまたま出先の古本屋でわたしが発見した。何度も読み直すわけではないが、わたしはこの一冊をずっと手放さないと思う。

大崎善生先生のご冥福をお祈りいたします。

2024.07.04 Thu.

最終日、今日の目的はただひとつ「高木珈琲」へ行くこと。京都にいた頃は週2で通っていた大好きな喫茶店だ。昨日に引き続き親友を引き連れ、高辻を進むと懐かしい看板が見えてきた。店内に入ると、わたしの顔なじみの店員(通いすぎてもうメニューも持ってきてくれなかった)は一人もおらず、椅子などの設備も新しくなっていた。このようにマイナーアップデートを経て店は続いていくのである。珈琲豆は時々オンラインで注文していたのだが、店で飲むそれは格別で、改めて自分が一番好きな珈琲だと思えた。

親友に別れを告げ、本屋に寄ってユリイカ6月号「特集:わたしたちの散歩」を購入し、新幹線へ乗り込む。楽しかった思い出と疲労感が交錯する。この3日間の情報量の多さで当分暮らしていけそうなくらい、今の生活は凪のように平穏だ。近所の犬と遊んだとか、市場に夏の果物が並び始めたというようなことが最近のわたしのホットトピックスである。

家に到着すると、庭の紫陽花が咲き始めていた。出かける前はまだ緑だったのに、 青々としている。暑くてへたれかかっていたが、たっぷり水をやると息を吹き返し、思わずインスタのストーリーに上げる。そして、これが京都で暮らしていた頃には知らなかった幸せなのだと気付いた。

2024.07.03 Wed.

クーラーをつけずに寝てしまい、夜中に暑くて目が覚める。この水中のような湿度と猛烈な暑さが京都の夏だということを思い出す。今日は中学からの親友がアフタヌーンティーに誘ってくれたので、二条城前にある「HOTEL THE MITSUI KYOTO」へ。京都暮らし最後の5年くらいは二条城の近くに住んでいたので、わたしにとって思い入れの深いエリアだ。Googleマップで場所を検索すると宿泊費18万円〜とありヒッとなったが、ラウンジで見た限りでは宿泊客は外国人が多そうだった(アジアの方も多い)。

お祝いもしてもらった

中庭が見える涼しい場所でのアフタヌーンティーは最高だった。美味しいお茶やお菓子を食べながらお互いの近況を話し合う時間が尊すぎる。死ぬまでにあと100回くらいアフタヌーンティーがしたい。

そのまま友人宅へ向かい、小学生になった息子さんの帰りを待つ。久々に会った彼は山田哲人のユニフォームを着ていた。手を洗い、棒アイスを食べ、宿題に取り掛かるのがルーティーンのようだ。「おおきなかぶ」を朗読して、計算ドリルを解き、親のハンコをもらう、その一生懸命な様子を見つめていた。帰り際に「明日も来る?」と聞かれて愛しさが倍増。次に会う頃にはもうそんなことは言ってくれないかもしれない。

ホテルに戻り小休止、汗がひくまでクーラーをフル稼働。まだ梅雨明け前の曇天でこんなに暑くて、真夏は一体どうなってしまうのか。夜は前職のメンバーとオンズに集合する予定。こちらも会うのは数年ぶりだ。四条通りを東へ向かい、木屋町を下がる。その行動すら懐かしすぎて嫌になる。大好きなインゲンのサラダとパテを注文し、ビールで乾杯。積もりに積もったここ数年の話をする。もしかすると目の前にいるこの人とはもう一生会わないかもしれないとちょっと泣きそうになったが、そういう意味でもこの場を設けてよかったなと思った。自分勝手な話だが、15年の区切りをつけるためにも京都に来てよかった。

二軒目は三条にある深夜喫茶「多聞」へ。広々とした空間でアイスチャイを飲みながら他愛もない話をする。帰り道、外国人の観光客たちが楽しそうにシンディ・ローパーを熱唱していた。いつの間にかわたしもひとりの客としてここを歩いている。その違和感が今でも拭えない。

2024.07.02 Tue.

自分に合った美容院(美容師)を探すことは本当に難しい。移住してからいくつか転々としてみたものの、なかなかこれといった美容院に巡り会えず早2年が過ぎた。東京は遠すぎるが、車で通えるような距離には見当たらない。そこで少し足を伸ばして松本まで行ってみることに。

美容師さんに期待することは、自分が好きそうなスタイルを提案してくれそうか、自分と話が合いそうかという2点である。インスタは、担当したお客さんの写真や本人のプライベートが垣間見えるので、フィーリングが合いそうな人を見つけるにはかなり有効な手段だと思う。ということで今回はインスタで見つけた美容師さんにお願いしてみた(読んでいた本や、普段の食事を楽しんでいそうなところに惹かれた)。

朝イチでお店を訪れ、カットとカラーをしてもらう。美容師さんはとても素敵な方で、リラックスしてコミュニケーションを取れたし、仕上がりも気に入ったしで大満足。これで長かった美容室探しもおしまいか…また次回もお願いしよう。施術中に周辺のおすすめランチを教えていただいたので、歩いて向かう。

peg」というこのお店は、昼はpeg dogというホットドッグが、夜はワインが楽しめるらしい。わたしが入店したときはまだ誰もいなかったのだけれど、コーヒーが届く頃には平日だというのにあっという間に満席になっていた。

peg dogはレーズンが入った甘じょっぱいパンにスパイシーなソーセージがのったものだったのだけれど、その美味しさに本当に驚いた。浅煎りのコーヒーも美味しくてホクホク、今度はぜひ夜に来てみたい。

さらに、美容師さんの今イチオシの「景色」というお店(まず名前が良い)にも行ってみたくてハシゴ。ナチュラルワインの販売や角打ちをやっているらしい。こちらはお客さんが誰もおらず、店員の方にゆっくりワインの説明をしてもらったり、お話したりできた。

アルザスのオレンジワインを選んで、街行く人を観察したり、友人から借りている瀬尾まいこ『夜明けのすべて』を読み進めたりした。窓から入る風がとても気持ちよくて、なんて贅沢な時間なんだろうと平日休みの素晴らしさを実感。

豊かな時間となった松本滞在だが、メインはこの後。特急しなのと新幹線を乗り継いで数年ぶりの京都へ。8月から新しい職場で働きはじめることもあり、この機会に懐かしい面々に会っておこうと遠征することに。今日はとりあえずいつメンに声をかけておいた。

わたしが京都を出た後にできた「コンコン」というコンテナと長屋を複数有するコミュニティスペース?のような場所に集合。久しぶりに会った面々は変わったようで全く変わっていなかったが、とにかくみんな酒が強いことだけは健在。わたしははじめの1時間くらいでキャパをオーバーし、その後ずっと水を飲んでいた。

今思い返せばあの場にいた半数は名前もわからない、その雑多な感じが懐かしかった。新しいコミュニティがあり、けれど我々の古いつながりも灯火は消えず(わたしのポジションには誰もつけないと言ってくれて嬉しかった)、京都の楽しい夜は更けていく。

なぜか黒子のような俺たち