(almost) daily corleonis

2024.12.01 Sun.

文学フリマ東京39へ。
今回は植本一子さんが出店するというので、発表されてからずっと楽しみにしていた。わたしはもう10年近く彼女の日記を読み続けていて(先日"一子ウォッチャー"という言葉を目にしたが、わたしも間違いなくその一人である)、そのきっかけを与えてくれた友人と一緒に足を運ぶ。植本さんにお会いできることももちろん嬉しいが、何より彼女の新刊に心を躍らせていた。

その友人から借りて初めて『かなわない』を読んだとき、圧倒されてしまい最後の方は自分の部屋でひとり2時間くらい立ちながら読んでいた。あんな読書体験はあまり他に覚えがない。

初めて降り立つ東京ビッグサイト。あまりの人の多さに会場入りした瞬間から酸素が薄く感じた。著名な作家の方が何のてらいもなくブースに座っていたりするのでこっちが驚く。ひとつひとつまわっていくと、数メートル先に植本さんの姿が見えて、自分の心臓が高鳴るのがわかった。

本をくださいと伝えると、わたしの名前入りのサインを書いてくださった。いつも彼女のネットショップから書籍を購入していて、宛名が手書きなことが気になっていたのだが、まさか本人が宛名書きしているわけないよな…と思いつつ、ファン心理で捨てられず空になった茶封筒が本棚にいくつも置いてある。サインに書かれたわたしの名前は、あの封筒の字と同じだった。受け取るときに手が震えて、自分が何を言ったのかも覚えていない。

帰りの電車でものすごい勢いで読み終えてしまった。今回は日記ではなくエッセイとのことだったのでどうかなと思っていたのだけれど、めちゃくちゃに良かった。今までとは違う読後感で、また次作への期待がふくらんだ。

#文学フリマで買った本

黒鳥社(来年虎ノ門に本屋をオープンすると教えてもらった!)の本と「おてあげ」は連れ合いへのおみやげ。買った本を並べてみたら、はからずも装丁が寒色ばかりだった。季節も冬になり、家にいる時間が増えそうなので、ゆっくり読み進めたい。

2024.11.10 Sun.

ルックバック』を観た。原作自体はジャンプ+で公開時(3年前)に読んでいて、話の大筋は覚えていた。当時読んだときは「藤野は京本には敵わない」という印象を持っていたのだけれど、違うなと思った。映像を通して藤野のという人間の凄みを感じた。

音楽が良くて誰が担当しているのかと「ルックバック 音楽」と調べたら、次の検索語候補に「うるさい」が出てきた。感じ方は人それぞれだが、わたしは登場人物が熱中していたり、思いが高まったときにグッと音楽のボリュームが大きくなるところにすごく引き込まれた。藤野と京本の初めての出会い(卒業式)の後、藤野が嬉しくて雨の中駆け出すシーンは特に印象的だった。映画館で観ていたらさぞかし胸を打たれたであろう。

映像になることで漫画で読んだ2人の軌跡に奥行きができて、「このシーンで2人はこんな会話をしたんじゃないか」「道中こんなことがあったんじゃないか」と、描かれていない部分まで想像を掻き立てられた(セミのシーンとかいいよね…)。

観終わってすぐ、サントラをiPhoneにDLして散歩へでかけた。日常に彩りを添えるような曲が多くて、歩いていて気分が上がる。わたしが近年よく聴いたアニメのサントラは『花とアリス殺人事件(fish in the pool)』『DEVILMAN crybaby』あたりだが、これはヘビロテになりそうだ。

2024.11.09 Sat.

朝から近所のアイリストさんのところへ眉スタイリングに。施術中におでこの形を褒められ、自分ではまったく認識していなかったと言ったら、わたしのおでこはつるんと丸みがあるらしく、この丸みを手に入れるためにおでこにヒアルロン酸を打つ人もいるのだと教えてもらった。この歳にして自分の顔のパーツの良い部分を知り、なんだか急に自分のおでこが好きになってきた。アイリストさんの肌が輝いていたので「肌ツヤツヤですね!」と伝えたら、「え…ウソ…うれしい…!」と恥ずかしそうに何度も喜んでいて、いいなと思ったことを相手に伝えるのは大事だなと思った。小さなことでも、その日一日くらいはうれしい気持ちでいられるかもしれない。

今週は山の稜線がくっきり見えて美しく、何度もiPhoneのカメラを掲げた。散歩で近所の方と挨拶するとき、「今日は山がきれいだね」と声をかけてくれる方も何人かいて、それぞれのタイミングで山を見ては感じ入っているのだなと思った。八ヶ岳もだいぶ紅葉してきた。

連れ合いが数日不在にしていて、食が雑になってきた。わたしは一人で食事をすることにあまり関心がなく、夕食を取らなかったり、サラダだけ食べたり、みたいなことをしてしまう。明日やっと帰って来るので、そろそろ美味しいものが食べたい。

2024.11.04 Mon.

この週末は、横浜から友人夫婦が遊びに来てくれていた。連れ合いの小学校時代からの友人で、当時の話をいつも楽しく聞いている。まだわたしたちが結婚したことを知らなかったらしく、伝えたら大層驚いていた。

彼らと初めて会ったのは7年前で(神宮球場へ野球観戦に行った)、それ以降何度か家に遊びに来てくれていたのだが、彼らは報告を受けたらいつでも渡せるように、毎回こっそりお祝いの品を持ってきていたらしい。ところがちっともそんな報告がないものだから、今回に限ってそれを持ってこなかったと悔やんでいた。

帰った次の日に宅急便でその品が届き、カードには「7年前から買っておいたプレゼントを送ります」と書いてあった。荷物になるにも関わらず、こっそり持ってきてはまた持って帰り、家に保存されていたのかと思うと、その時間や労力の分だけこのプレゼントの尊さを感じた。

中身はピザカッターだった。次に彼らを招くときにはピザを用意しなければ。

2024.10.25 Fri.

隣の部屋の人の話し声で目が覚める。その後何度も二度寝を試みるも失敗。チェックアウトして近くの喫茶店へモーニングへ。昭和の懐かしい店構えで、店内には常連客が数人いた。テレビのワイドショーと昭和歌謡が重複して聴こえる店内で、美味しいコーヒーとバタートーストをいただく。常連客の方たちの地元トークがおもしろく、ちょっと盗み聞きしつつ朝の時間を楽しんだ。

地域の小学生が描いた絵がかわいらしい

魚好きの連れ合いが、「イトヨの里」というイトヨの保護や水環境の保全啓発を目的とした学習施設へ行きたいというので向かってみる。客はわたしたちだけだったが、施設の方がとても良くしてくださった。イトヨを観察し、トゲウオたちについて知識を深める。

その後鯖江へ向かい、めがねミュージア厶や商店街を散歩。鯖江駅は「サンダーバード」や「しらさぎ」などの特急列車が止まらなくなってしまい、新幹線駅からも外れていることから閑散としてしまっていると立ち寄った書店の方に伺った。昼食はその人におすすめしてもらった国道8号線沿いにある中華そばの店で煮干し鶏の塩ラーメンを食べる。

本日の宿泊地、かつこの旅の最終地点でもある敦賀へ。海沿いを少し散歩してからホテルへチェックインする。荷物をおろしベッドに腰掛けたと思ったら、そのまま1時間ほど眠ってしまった。旅行中、夕飯を食べに向かう前にエネルギーを蓄えるべく少しだけ寝る時間が好きだ(海外旅行では特に必須)。

敦賀駅前にある「ちえなみき」という公設民営という変わったスタイルの書店へ。図書館のような本棚に近く、好奇心を刺激されるようなラインナップだった。この日はマルクス・アウレーリウス著「自省録」の読書会的なイベントが行われていて、老若男女が集まっている(地域の人たちがこの場所をハブにしている)様子にちょっと感動してしまった。この旅ではここまで特に何も購入していなかったが、見事に1万円を落としてしまった。わたしは荒川洋治「文学は実学である」など、連れ合いはフランスに関する書籍を数冊お買い上げ。重くなったトートバッグを肩にかけ、夕食を食べに街へ繰り出す。

せっかく福井に来たもののまだ海鮮を食べていなかったので、刺身が美味しそうな居酒屋へ。冷奴、刺身盛り合わせ(カツオやサーモン、ヒラマサ、タイなど)、タイのあら炊き、ふぐの唐揚げを日本酒とともにいただく。

夜の街を散歩して、〆に屋台のラーメンを食す。「ごんちゃん」というこの店はとても繁盛していて、ひっきりなしに人が入っていた。相席で前の人と膝を付け合わせながら食事をするのは、さながら台湾の夜市のようだ。明日は最終日で、すでに少し切ない。しかしそれも旅の良さであり、またどこかへ行きたいと思わせるのであった。

最終日へつづく。